片親よりも、両親が揃った方が良い!と、近年では子供を伴って再婚をされる方が増えてきました。
再婚する事により両親が揃うことは、連れ子にとって嬉しい事かと思いますが、その際に気になるのは連れ子と再婚相手の養子縁組についてではないでしょうか。
養子縁組を組まなくても本当の家族として一緒に暮らす事が出来ます。
しかし、書類や形式上、養子縁組したいと思うのは親の気持ち…
今回は養子縁組の制度から、そのメリット・デメリットについて解説して行きたいと思います。
■そもそも養子縁組とは?
養子縁組の中には、通常の「養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
「養子縁組」は原則として当事者の意思によって自由に縁組できるのに対し、「特別養子縁組」は養子となる子供が6歳未満であること(6歳前から既に養親となる夫妻の元で育てられている場合は8歳未満まで)、更に実親による養育が著しく困難である場合に適用されます。
通常の「養子縁組」が戸籍上(書類の中で)あくまで「養親」「養子」の関係で、実親との関係が切れないのに対し、「特別養子縁組」は実親との関係を切って、「実親」「実子」として育てていくための制度で、子供の物心がつく前に行う必要がある事から、年齢の制限があります。
また、「特別養子縁組」は自主的に縁組を行うことが出来ず、必ず家庭裁判所を通して手続きを行う必要があります。
■養子縁組のメリットとは?
養子縁組のメリットは、やはり養子縁組を行うことで実子と法律上ほぼ同じように位置づけされる事です。
養子縁組をする事で再婚相手が亡くなった際に、遺産相続の権利が連れ子にも生まれるという利点もあります。
また、再婚相手の親の遺産相続も連れ子に渡る事にもなります。
■養子縁組のデメリット
養子縁組で起きる可能性のあるデメリットは、実の親の遺産相続に関してです。
例えば女性が、連れ子と共に再婚し、連れ子が新しい夫と養子縁組をした場合、元夫が亡くなった際に、連れ子に元夫の遺産相続権が無くなってしまうという点が考えられます。
また、連れ子が再婚相手の姓に入りたくない、苗字変更をしたくない場合は、戸籍と違った苗字を日常使用しなくてはいけなくなる問題も御座います。
■養子縁組を行う前に
上述の通り、養子縁組を行うかどうかは主に「遺産相続」の問題で、日常生活においては養子縁組をしたか、しなかったかはあまり問題はありません。
しかし、遺産相続の際に養子縁組をしていなくても遺言状等、正規の書面等でどうにでもなります。
そう考えると「養子縁組をするかしないかは当人たち(連れ子と再婚相手)の考え方」に依存してくるかと思います。
養子縁組をすると、連れ子が未成年の場合、再婚相手に連れ子の扶養義務が生じます。
それと同時に、連れ子が将来的に再婚相手の老後の面倒を見る義務も出てきます。
しかし、あくまでそれは建前であり、誰しも「養子縁組の有無で扶養する・しない」を決めるのではなく、扶養の意思を持って再婚をするハズです。
例えば再婚してあなたが亡くなってしまった時に、連れ子と再婚相手が本当の親子としてやって行く覚悟があるのかどうかの方が大事な事です。
少なくとも子供が自分で判断できるまでは養子縁組を急ぐ必要はないと言えます。
■苗字はどうなるのか
連れ子との再婚で気になるものの一つが「苗字」です。
例えば女性が連れ子と共に再婚した際、女性(母)が再婚相手(夫)の姓に入ると、何も手続きをしない場合は連れ子の苗字は変わりません。
しかし、これも家庭裁判所に申し立てる事で、養子縁組をしなくても連れ子の名前を再婚相手の姓に変える事が出来ます。
そして、養子縁組を行った際は、自動的に連れ子も再婚相手の姓になります。
養子縁組をした場合は元の姓を名乗る事は出来ません。
子供が姓を変える事に抵抗がある場合は、養子縁組を待ったり、養子縁組を行って戸籍上は姓を変更しつつも日常生活では元の姓を名乗る事が出来るように配慮してあげる必要があります。
■まとめ
如何でしたでしょうか。
養子縁組は法律上、連れ子と再婚相手を結びつけるものですが、遺産相続や扶養義務のことを考えると非常にデリケートな問題でもあります。
しかし、家族の絆は戸籍よりも強く、家族の形も千差万別です。
出来る事なら子供と再婚相手とじっくりと話し合いをして、お互いの納得のいく形にするようにしましょう。
急ぐ必要はありません。